堕天使の煉獄

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「吸血鬼と精神分析」 笠井潔
「石の血脈」半村良
「水底の棘 法医昆虫学捜査官」 川瀬七緒
「そして最後にヒトが残った」 クライブ・フィンレイソン

読了。

年明け前ぐらいからぼちぼちと読書。
んでも何でだろう……内容が妙にシンクロする率最近高い。

まず「吸血鬼と精神分析」。ひさびさの矢吹カケルシリーズ。
作中はまだ1970年代とかぐらいなんですよね。長期シリーズにありがちな実時間との乖離が激しくなったのを感じずには居られない……。一方、漫画界ではガラスの仮面なんかだと劇中に携帯やらついにはスマフォまで出てきたらしいw

が、なにげにこの乖離を逆手にとっている部分もあるような気もしないでもない。
今回のネタというか、ゲストキャラは、ジャック・シャブロル=ジャック・ラカンでした。以前はハイデッカーとか出てきたし。んで、矢吹カケルと哲学的討論なんぞをかましたりするのですが、なにげにカケルのほうは、本来ならもう少し先の時代の考え方なんかを持ち出したりして、今では古典的とも言えるような、でも当時としては先端の学問や哲学を批判したり、皮肉というか風刺してる感じになってたりで。
この辺がなんとなく後出しじゃんけんっぽく感じるのと、実時間との乖離を逆に利用したレトリックなのかなーとか思ったり。

んでもジャックラカンといえば、ゼノギアスを思い出しますw

なにげに一冊ラカンの本が図書館の無料で持ってって良いよな奴(古い蔵書なんかがたまに持ち帰り自由になって置かれてる)で持って帰ったのあるのですが、まだ読んでなかったり。

で、漠然と、ジャックラカンてフロイトやユングの古くさいやたらと性衝動と父親にこだわるアレから脱却した、もっと進んだ心理学の人というイメージあって、それでそのうち読まないとなーと思っていたんですが。
「吸血鬼と精神分析」の中で出てくるジャックラカンからすると、がっつりフロイト原理主義な古くさい系じゃねーかと。

なのでちょっと興味が薄れたり。
でも「鏡像段階」のあたりの話は好きなんですけどね。最初に自己と外界との隔たりを意識して自己を認識するプロセスとか。
その辺は、意識として物を認識するということの根源的な部分として興味深いテーマだったりするので。でも割と勝手に鏡像段階については自分なりの考えみたいなのを長年ぼーっと考えてたりしたんですけど。
脚色もあるのかもだけど、実際のラカンの考える鏡像段階も「吸血鬼と精神分析」のなかのと同一だとすると、なんかなーと。ちょっとガッカリするレベル。

てかお前らどんだけちんこ好きなんだよって話ですよ。

男は男性器があるから男で、女性は男性器のない男とか、女性蔑視がすさまじい。これも時代背景なんだろうけどさ。なにげに古代ギリシャとかの時代は、真実の愛は男色(少年愛)で、男は社会的義務から子供つくる為だけに嫌々女と性交渉するんですよなんて話もあったりとかするしなぁ。
てか男根主義者のはしりがラカンなんですね……ファルス中心主義というらしいですが。

んでも生物学的には、最初の原型は女性らしいですね。そこからXX染色体の一部が欠損してXY染色体になると、そこからホルモン分泌の内容が変わって男性器が作られるようになるとか。なので、そういう意味では女性に男性器がついた(正確には女性器になる器官が変質したというべきか)のが男性というのが生物学的には示されている模様。

とまあ、これも後出しジャンケンですねw

当時の時代ではそういった封建主義的な男性優位主義がまかり通っていた時代なんだなーと思うよりほかないですけども。

そんなこんなで、一気にラカンの興味無くなった一冊でした。


次に半村良の「石の血脈」
ちょっと前にどこぞでおすすめ作家みたいなので知った西村寿行の「化石の荒野」を読んで。確かに面白かったのですが、そこで三村時代というワードを知って。半村良、西村寿行、森村誠一という三人が同時期の人気作家として有名だったんだとか。といっても私の生まれる前とかの時代のことなので、全然それまで聴いたこともなかったんですけどw

で、西村寿行のシリーズは、なにげに船戸与一とかあの辺の冒険小説っぽい感じで(むしろその元祖の人?)結構好きになったので、じゃあほかの三村時代の人も読んでみるかと借りてみたのが半村良の「石の血脈」だったりして。

で、読んでみると……こっちはちょいエロありの……最近読んだなかでは高橋克彦の「竜の柩」とかの系統なのですね。
んでもって1971年とか全然生まれる前の本ですねこれ。

でもなにげに「化石の荒野」は文体とか話し言葉とかが時代を感じるなーとおもったんですが、「石の血脈」のほうは全然そんなことがなかったりして。

内容的には面白かったのは面白かったんですが、ラストあたりはちょっと投げっぱなしだったかなーと。「竜の柩」もそうだったけど、ちょっとムー的なトンデモ古代系のお話ってネタが命で、わりとネタの部分書ききると、それ以外のストーリーはけっこうおざなり……っていうパターン結構多いんですよね。ちょっとそのパターンっぽかったかなという印象。

しかし、全く内容しらないで借りてきたんですけど……中身は吸血鬼物の一種なんですよね。その中で、イシュタルとか出てきたりしてこれも「竜の柩」を思い出す……で、昔は女系社会だったーとか、ちんこがーとかなんかその辺の設定ばなしのところで、そういえばこの前に読んだのは「吸血鬼と精神分析」と、こちらも吸血鬼ネタ。さらには男根主義な話とか、奇妙な符合具合で。

最近なんだか脈絡もなく選んだはずの関係のない本の内容が微妙にリンクしてることがおおいぽ。

「水底の棘 法医昆虫学捜査官」 川瀬七緒

昆虫法医学もののシリーズ第三弾。
乱歩賞作家らしいのだけど……相変わらずちょっと文章は拙い印象があるぽ。
あと昆虫法医学の人のキャラが、どうしてもミンボーの女マルサの女の宮本信子のキャラに丸かぶりで、その辺もちょっとなーと言う気もするんですが。でも面白くないかと言われれば、普通に面白いです。
単に昆虫法医学というジャンルに興味があるので読んでるシリーズでもあるぽ。
昆虫法医学の地位が確立してる海外の昆虫法医学物の作品が結構緻密な描写で面白かったんですが、こっちのはどちらかというとコメディよりなので軽い印象ですけど。

んでもなぜこのジャンルが好きかと言えば、唯物論的なんですよね。
人の死体は只の物体で、昆虫は昆虫の都合で集まり行動する。機械的なまでに。
そして昆虫法医学者のあくまで科学的な、結果論、物理的な因果関係、実証主義といった物の見方。
そしてそれと切り離された部分での人間的感情。
この入り交じる感じが無常観というか。死んだらただのタンパク質なんだよなーとか。


これは昔読んだ海外物の本のほうのネタなんですが、カブトムシってスカベンジャーで、人の死体とかにもたかるんだとか。それも割と早い時期、死体からしみ出てきた体液を舐めるために。

カブトムシとかとろうと、木に蜜ぬって、翌朝見に行ったら黒い物が……キターとおもったら大量のゴキブリが群がってただけという感じの、なんかここにいて欲しい物が居ないどころかとんでもないものがいやがるぜ感ある話ですよね。

盆栽の話じゃないですけど、枝は枝の都合で伸びるってやつ。虫も虫の都合で生きてるんですよね。その習性、本能ってのは何処までも正直に動くので、死体にとりついた昆虫の性質を熟知していれば、いろんな事がかなり性格に判ると。



「そして最後にヒトが残った」 クライブ・フィンレイソン

ネアンデルタール人がどうして滅びたのか、どうして現生人類がこんなに繁栄したのか。
てきなネタの最近の学説本。

いろいろと長いので続きはまた今度書こう……。
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