堕天使の煉獄

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2016-07

31

21:24:06

もうちょっと・・・

某氏んとこの夏コミ依頼絵の〆切りがもうすぐで、最後の追い込みなかんじぽ。
しかしなんか、〆切り迫ってきても、いまいち緊迫感とか緊張感とかなく、あいかわらずなんか今回は、のんびりムードというかいまいちぴりっとしない。
むー。

そんな最中。

笠井潔・著 「熾天使の夏」読了。

矢吹カケルシリーズの第0作という位置づけになる話。
シリーズ1作目の「バイバイ、エンジェル」の前にすでに書かれていた作品で、20年越しの出版とのこと。

読み始めると、初っぱなから突然ものすごく難解なイメージとゴテゴテした形容の羅列で埋められた冒頭は、「あれ? これなんか読むのつらい……」といきなりくじけそうになるレベルに文体が複雑怪奇。読み進むにつれ、少しずつ読みやすくなっていったけど。
後書きによると、冒頭の部分は、当時小説という物を書き始めたばかりで、文学というのは斯くあるべきというようなかんじで、文章を書くと言うことのハードルをものすごく高く設定しすぎた為。ということらしい。

お話全体にしても、なんというか、若気の至りというか、思想的な部分にも若さ故の青臭さが強くでており、それはそれで、いろいろ悟っちゃう前の矢吹カケルという人物像ともリンクするせいか、ちょっと面白い。

しかし、この精神状態は何なのだろうか。「革命」というものに一生を捧げる決意をした人間の精神というのは。

読んでいて、ふと似たようなものが思い浮かぶ。
ブラックラグーンの中で、双子の殺人狂の話のとき、「そういう奴等は、いろんな事に怒ってる。怒りすぎて何に怒っているのかも判らなくなっちまってる」というような台詞があるのだけども。この革命狂いの輩にたいしても、そんなイメージがぴったり来る。

そして作中、矢吹カケルは、「完全なる自殺」を計画するのだけども。

その「完全なる自殺」というのが、なんだか神秘主義的な感じで、ちょっと陳腐な印象も。それも若さ故かw
んでも、その内容が、グノーシス思想を思わせる内容だったりして。

生理的な生、物質にとらわれた精神→この世界は偽神が作った偽りの世界で、物質という汚れた物に魂が拘束されている。

この世界の真の姿を絶対的な直感で認識することで、世界のすべてと自身の本質? との合一を目指す→この世界が偽りの世界であり、新の世界、真の姿を取り戻す。

それを行うためには、真実の生と死を回復しうる、究極のヴィジョンをえること→偽神による偽りの肉の生から逃れること。

みたいな感じで、グノーシス思想といろいろとかぶる。

最終的な「完全の自殺」の予定では、窓から飛び降りる=死ぬけど、その瞬間に解脱するもんねっ。
というかんじで、最後が肉体的な死の上に成り立っているところも、これまたグノーシス思想的。
グノーシス思想的にも、ただ死ねば良いというわけではなく、ただ死んだだけでは、また魂は物質にとらわれ、偽神の作った世界から抜け出すことは出来ない。それを行うには、この世界の認識、魂の目覚め、魂の浄化(肉欲などに溺れることは物質世界とのつながりを強めるため、清貧につとめる)をおこなう必要がある。そして最も手っ取り早いのが、殉死。
殉死することが清浄な魂であるという証左とし、肉体、物質から逃れられるというわけだ。

しかし、革命家とグノーシス思想がつながるとはおもわなんだ。
でもこれ結局は、変えられないどうしようもない現実に直面して(グノーシス思想の場合は教会の腐敗とか。革命なら腐った資本主義になるのだろうか)そんな世界のなか、高潔でいたいと願った場合、自他に自分は高潔で潔癖であると喧伝した上での自死。というのが最後の手段として、もっともお手軽かつ、楽で安易な自己満足的手段なので、行き着く所を考えれば、なるほどグノーシス思想も行くところまで行った革命家というのも、同じ考えにいたるわけだと納得してしまったり。

結局はこの世界に絶望してしまったけど、やさぐれるのはみっともない、腐る自分を許せない。そうなると、崇高な自死というのが結論として出てしまうのだろうな。

敗北主義とかも、そういうののもうちょっとおとなしい版の思想なのかなーとかおもたり。

んでも結局のところ、自己保身とか自己満足でしかないんだよなぁ。このへんの高潔な思想とかいうのって。

んでも後書きの中でふれているのだけど、著者は現在ではこの「完全なる自死」についての思想は否定的だそうだ。
その後の矢吹カケルシリーズのなかのカケルの言動は、この第0作のなかの人物像とはあまり結びつかないところが多いので、むしろプロトタイプ版的に、別物と見るのがよいのだろうか。

そんなかんじで、その「青さ」というのが今作の醍醐味なのかなとかおもたり。

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