堕天使の煉獄

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2014-07

09

05:35:32

本格的に夏到来かな

ウィリアム・ギブスン著
「ヴァーチャル・ライト」
「あいどる」
「フューチャーマチック」
読了。

ウィリアム・ギブスンといえば、
電脳三部作の一つ「ニューロマンサー」とかが有名だったりするが
攻殻の元ネタ、と言う方のが今時の人にはわかりやすいかもしれないw
(アニメ版ではこの電脳三部作のなかのエピソードを元ネタにした話がいくつかある)

かくいう自分も、電脳三部作の名前は知ってたけど、
まだ現物をお目にかかったことが無くて、そのうち読みたいと思っていたのですが
図書館で検索したらば、上記の三作「橋」三部作の方だけあったので
読んでみることに。

……よ、読みづらい。
人物が何をやっているのかがわからんw

だれがなにをどうした。

というつながりがはっきりしない文章だなぁ。
訳が悪いのかなともおもったのだけども
文体的に、サブカル用語をちりばめた感じの文体で
原文自体もそういう感じなんだろうなと言う感じもするので
その原文の味を残そうと思うとこんな訳になり
きちっと筋の通った訳にすると、つまらなくなる……そんなかんじで
こういう形に落ち着いているような気もしないでもない。

でもあきらかに誤訳ってのも結構おおいし、

「このまんこめ」

とかって、普通に、「ファック」とかでいいんじゃね? とか
ローリングストーンズを知らないで「転がる石」と訳しちゃったみたいな
腑に落ちなさを感じる部分も多かったりして。(ちょっとちがうか)

んが、訳者の名前でググってみると、結構SF界隈では有名な翻訳家として
名前が挙げられてたりして…。

んでも中にはこの人の訳を読みにくいという意見を述べてる人もいるようだし
どうなのかなと思ったらば。

別の人の訳の、電脳三部作の方のニューロマンサーの訳についての意見があって

どうやら、訳がどうこう以前に、そもそも原文が読みにくい文章らしいということが
わかってきたりw

同じ様なかんじのは
ギブスンの後継者と言われるニール・スティーブンスンの
そのまた後継者と言われるチャールズ・ストロスの本も
にたような感じだったけど……
でもそっちは、誰が何をやっているのかは普通に読み取れたり。

どうもこういう文体はその手のSF作家の伝統芸みたいな物らしい。
(といいつつニース・スティーブンスンはそんな感じではなかったけど。)

内容については、常に進歩し、さらに継承されていくSFという世界では
鮮度が落ちるととたんに古くさく感じてしまうものなので
この本がでた当初に読めばまた印象も変わったのだろうけど
今読むとSF部分は特に驚きもなく……なので期待度に対してはがっかり感が。
(いま攻殻1読んでも同じ印象ぽ。当時はすげーとおもったけども)

しかし、二作目の「あいどる」には、
電脳のなかだけの存在の歌姫がでてくるのだけども
普通に今なら初音ミクが頭に浮かぶ。

で、ちょっとググってみたら、ギブスンが初音ミクに関して発言していたという記事が
ttp://ascii.jp/elem/000/000/571/571603/

>ファンからは「ギブスン氏がネギを振る日もそう遠くないな」という声もあがった。

にワラタw

しかし、基本的に、世界観とか、そこに生きる登場人物の描写は魅力的なのだけども
全体的なストーリーの構成に関しては「?」な感じぽ。

もともと、松山ベニーみたく、50pで収まりそうな内容を200pかけて書く感じの
(大仰な形容詞等がサブカル用語に置き換わったとおもいねぇ)
文章なので、残りページがあとわずかとなってきても
ほんとにこれ、今までの展開のスピード的にちゃんと終わるのかな。

……とおもったら、唐突にラストは結末だけさらっと書いて終わり。
しかもその結末も、「俺たちの戦いはこれからだ」ENDに近い
なんか解決したのかしてないのか、何かが終わったのか終わってないのか
はっきりしないしり切れトンボな感じで
なんかもやもやーとした終わりだったりして。

ストーリーよりも、人物描いて終わりってかんじのタイプで
結局どういう話だったのかよくわかんなかったりw

九龍城をモチーフとした「橋」に作られた雑多な町とか
世界観は面白いところもおおかったのだけども。

結局、読後感は「で? なんだったの?」といった感じできょとんとした感じに。


この三部作が面白かったら、
なんとかニューロマンサーも手に入れて読もうかなと思っていたのですが
もういいかな……という感じになっちゃいました。

ふと手に取れるところにあったら読んでみるでしょうけど。
恣意的に探すというモチベーションはなくなっちゃったかも。

うーむ。

SFは足が速いやね。
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